生きてはいるが、健康診断の結果、なんか「要精密検査」ってなってた!
きちー

それはともかく、ようやくあのときの日記。









そう、それは七月の後半に行われた、とあるスタンのPTQ。

関東の底辺プレイヤーとして、大会に参加しては0-2ドロップして、サイドイベントのドラフトでも負け散らかす、いつもの日常だったはずだった。

しかし、その日だけは、すこしだけ様子が違ってきていた。

まず、参加した大会が、PTQだったこと。アムステルダムへの出場権利と、往復の航空券をめぐって、普段俺が参加している大会よりも二割増し(当社比)でマジな大会だった。

そして、もうひとつは俺がなぜか優勝してしまったことだ。
困った。これは困った。
なにが困ったって、まず、休みが取れない。

旅行代理店の人の話では、木曜発、翌火曜着の日程。つまり、土日を休み換算しても(なお、うちの職場で土日両方休みであることは、まず、無い)木・金・月・火と、四日間も仕事を休まねばならない。九月十月が死ぬほど忙しいうちの職場にとって、これほどの長期休暇を申請することは、つまり「暇をください!」って言うのと同じこと。さすがにこのご時世、どんだけくだらなかろうが、一度つかんだ職を手放すことは自殺行為と思えた。

ならば、どうするか。

決まっている。旅行代理店の連絡先にある、「日程等変更がある場合は、お問い合わせください」の一文。四日の休みがとれないなら、二日にしてしまえばいいじゃないか。

マンガだったら、ピコーンと電球が輝くようなその考えをさっそく俺は実行にうつした。

「木曜夜発、火曜早朝着にはなりませんか?休暇の申請との関係がりますので…」というような旨の一文を添えて、旅行会社へFAXを送り返す。
次なる困りごとは、プロツアーが行われるのが、アムステルダム、つまりオランダだということ。

まず、俺は未だかつて日本を出たことがない。当然パスポートも所持しておらず、また英語能力についても「英語は捨てた!」と日常的に言い放つような学生生活を送っていたのだから、推して知るべし。マジックプレイヤーであるため、英語のカードテキストくらいなら読めるし、理解できるものが多いが、これが生きた英語になると、トンとダメである。何が言いたいかというと、プロツアー公式が読めない。日本語翻訳機能に頼ったとしても、わかるようなわからんような文しか出てこず、あっさりと理解することを放棄した。
ともかく、挑戦するに当たって必要なことは、パスポートの取得と、休みの申請、そして、本戦へ向けてエクテンデッキの調整とドラフトの練習。この三つに絞られた。

というか、それしかしなかった。

日常的に参加していた休日のスタン大会は全て出るのをやめ、LC宅でのドラフト練習に打ち込んだ。結果は惨憺たるもので、チームを死に至らしめる「死神」の二つ名を不動のものとしていたが、まあ仕方ない。

お盆休み直前にはパスポートの申請も無事終了し、毎日深夜までハノイに調整につきあってもらったり、晴れる屋エクテンに出たりして、エクテンデッキの方向性も定まってきた。

後は本戦を迎えるだけ。
と思いきや、実は心配事はまだたくさんあった。オランダでのホテルをまだ決めかねていた、というか、全く考えていなかったのであった。

LCに聞いたところによると、「ミクシィのコミュでまとめてとってくれるよ」ということだったが、肝心のコミュ名まではわからず。

公式からも案内してくれるようだったが、ここで問題発覚。

俺、クレジットカード持ってない。

そうなのだ。

海外で支払いと言えばクレカ。これがなければ金を持っていないのと同義なのだった。そういえば、MOでさえクレカ必須だしな。
これはもうどうしようもない。向こうで無理矢理探すしかない!決意を新たに、滞在スケジュールを練り始める。出発の前日の出来事であった。

前日かよっ!もっと前から練っておけ!そうすればあんなことにはならなかったのに!というお叱り、ごもっともである。
とにかくいろいろトラブりながら出発当日を迎えることになってしまった。

普段通りの格好ながらも、旅行用のリュックを背負い職場へ電車で向かう(普段は車通勤)。普段通り仕事をこなし、前もって伝えてあったとおり、定時で帰宅・・・と見せかけて、リュックに詰めてあった服と着替えて、そのまま成田空港へ。

そういえば、俺今まで成田いったことねーやwと気がついたのは、電車に乗った後だった。二時間あればつくだろう、と見積もっていたが、三時間近くかかった。職場~最寄駅にも時間がかかっており、成田につくと、時計はすでに八時を回っていた。

なお、飛行機の離陸予定時刻は九時四十分。国際線の場合は二時間前に空港に待機しておくべき、と言われてる以上、すでに遅刻である。

しかし、何も準備をしてこなかった初めて海外ジャポネーゼには、まだまだ解決すべきスタックがどっさりと積まれていた。

その一。

お金。

当然、日本円など使えるわけがないが、両替など済ませていない。というか、どこで両替できるのかも知らない。行きの電車で検索したところ、成田空港内にあるではないか!しかも、銀行っぽいくせに今でも営業している!偉すぎるぜーってなわけで、飛行機のチェックイン?と、荷物の預け入れ(といっても、リュックのみだが)を済ませ、両替屋さんへ(後ほど聞いたところによると、空港での両替は高いらしい)。一五万円ほどユーロへクラスチェンジ(なお、1320ユーロに替わったはず)させておく。

次に、すでにアムス入りを済ませているみやけんさんのツイッターから得た情報、「アムステルダムは寒い」、これを打破しなければいけない。なぜなら、現在所持している荷物は、猛暑の日本仕様、つまり上は全てTシャツだった。現在でも朝夜は十度程度というアムステルダムを乗り切るには心許ない。

というわけで、空港内をうろつく。ユニクロみっけ!と思ったのもつかの間。時はすでに八時を回り、閉店している。というか、周りの店もほとんど閉店していた。このスタックは、経由地であるパリに託すとしよう。ユーロに換金したことともかみ合うし。

ついでにスタックに積まれていた「昼飯以降食ってないから腹減った」も対象不適正のため立ち消えとなる。一応、空港内のねーちゃんんの話では離陸してから一時間くらいで食事、着陸一時間前くらいに食事らしいが、それまで空腹状態でいるのもきついので、唯一開いていた免税店で草加せんべい詰め合わせ(土産用。千円だった。たけえ)を購入し、いざ飛行機(パリ行)へ。

eチケットで予約した座席は窓際。実に十年近くぶりの飛行機であるため、わくわくしながら窓下をのぞき込んでいると、空席を挟んだ隣の女性にあれこれ話しかけられる。聞いてみると、彼女は十九歳の女子大生で、国際ボランティアを兼ねてのパリ旅行を行く途中だと行った。

十九歳!平成生まれ!まるで異星人のように感じてしまったが、話すと極めて普通のねーちゃんだった。のだめが好きで、その舞台のパリにどーたらこーたら、今乗ってる飛行機のメシがうまいとミクシィのコミュで見た、など、他愛もない話をだらだらとする。何しろ、成田~パリ・シャルルドゴール間は一四時間くらいある。機内ではタダでもらえるハイネケンを片手に、消灯時間まで適当にくだをまいていた。
そういえば、日本で心配事の一つに「職場~アムスまで一八時間くらいあるけど、飛行機でちゃんと睡眠をとれるだろうか」と思っていたが、半月くらい休みなしで働いたりして、とにかく疲れていたので爆睡。

何度かちょっと目が覚めたものの、起きたとき首が痛くなるくらい熟睡していた。
目が覚めると、すでに飛行機はヨーロッパ上空を飛んでいた。二時間もすれば、経由地のパリに到着するようだ。

朝飯を食いながら、飛行機のシートに取り付けられているモニターで「ゲーム」をやってみる。適当に「ケイブ・なんたら」というゲームを選ぶ。どうやら原始人を操作し、マップ上にちらばるアイテムを回収する。道にはマンモスなどの敵が動いており、それを避けながら行動しなければいけないが、「棍棒」のアイテムをとると一定時間無敵となり、敵モンスターを倒すことができる・・・。って、これまんまパックマンじゃねえか!

一面をクリアしてやめる。
そんなこんなで、花の都、パリに到着する。隣のねーちゃんに別れを告げ、預けた荷物を取りに行く…が、待てど暮らせど、コンベアをどんぶらこー、どんぶらこーと流れてくる荷物の中には、見知ったリュックが見当たらない。

マズイ!

脂汗が背中を伝う。貴重品及びデッキなどは身につけているポーチに入っているものの、着替えや、何より一応持ってきたトレード用カードはリュックの中に入っている。無くしてしまった、と笑って済ませられるものではない。
錆び付いたロボットのような動きでインフォメーションカウンターへ向かい、たどたどしく助けを求める。「あ、アーイムルッキンフォー、マイガービッジ」

口に出してからはっと気がつく。
そう、ガービッジは「ガラクタ」の意味だ、荷物はバゲージだろーーーーっ!ドラクエでドラゴンバゲージっていたじゃねーかっ!

幸いなことに「てめえのゴミのことなど知るか」などとは言われなかった。ってか、真意を読み解いたカウンターの事務員さんはかなりやりおると思う。

「なんちゃらかんちゃら、ユアパスポート?」

おずおずとパスポートを差し出すと、「オー」と一言。

「なんちゃらかんちゃら…アムステルダム」

要するに、「ここはただの中継地点だから、荷物は自動的にアムス行きの飛行機に移し替えられてるぜベイベー」てなことを言っているようだった。そんなシステムになっていたとは…。

本当に旅慣れていない感を全身から振りまきつつ、アムス行きの飛行機に搭乗すべく次のゲートへ向かう…と思いきや、実はパリ到着からパリ出発まで丸二時間もあるのだった。出発ゲートだけを確認し、スタックを解決せねば。そう、寒いと噂のアムスに着く前に、上着を買わないといけないのだった!




だが、パリは午前五時だった。
外はまだ暗く、当然店は全て閉まっており、買い物などできるわけもなく。

とにかく一服つけようか、と空港から外に出て、タバコに火をつける。


パリも、クソ寒かった。

続く?(疲れてきた)

コメント

Hanoi
2010年10月1日0:00

せっかくだから続けましょうキリッ

みつひで
2010年10月1日0:01

平成生まれの女子大生と楽しくおしゃべりだと…

サンガ
2010年10月1日0:38

のっけからこんな行き当たりばったりだったのかw

nophoto
With
2010年10月1日2:42

とにかく勢いだらけすぎるww

nophoto
ohshi
2010年10月2日12:50

続き希望w

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