その②

2010年10月4日 TCG全般
その日のパリは寒かった。
気温は恐らく10度ほど。半袖Tシャツでうろつく気温ではない。
タバコに火を灯し、十数時間ぶりの喫煙を震えながら楽しむ。




なお、今さらだが、この旅行に俺が準備していたものを振り返ってみたいと思う。


リュック(以下リュック内荷物) ※荷物で預け入れている。
半袖Tシャツ 三枚
パンツ
ジーパン
ジーパン(ハーフパンツ)
靴下
トレード用カード
デッキケース 二つ
予備のタバコ 三箱
コンタクトケース・保存液

ポーチ(以下ポーチ内荷物) 現在も持ってうろうろしている
エクテンのデッキとデッキケース
スタンのデッキとデッキケース
財布(中には1320ユーロと8万ほどの日本円)
パスポート
DSLL(メタルマックス3)
PSP(勇者のくせになまいきだ3)
iphoneとDSとPSPの充電器

なお、リュックの中には、丸ごとポーチが入るようになっている。
あとは、iphoneとタバコとライターがポケットに入っているのとともに、食い残した草加せんべいを手に持っていた。
以上が用意した荷物の全てだった。

二本続けて吸ったタバコを、灰皿とおぼしき物体に叩き込み、出発ゲートへ向かう。まだ搭乗まで四時間ほどあったが、本当にすることが何もないので仕方がない。

心配事の一つに「海外の空港で、搭乗口とかってすぐ見つかるものなのだろうか」というものがあった。中国に出かけた友人の体験談などを聞くと、「空港が広すぎて出るまでに半日かかった!」などと聞いていたためだ。だが、特に迷うことなく、俺が搭乗するEゲートはすぐに見つかった。
すぐに見つかりすぎて時間を持て余してしまったくらいだ。

ゲート周辺を見渡すと、同じようにチェックイン開始を待っていると思われる人々が、椅子の上で毛布にくるまっていた。

俺も暇だし、寝ていようかと少し考えるが、飛行機で八時間ほど睡眠をとっていたため、全く眠くない。かといって、暇をつぶすところもない…。ぶらぶらと空港内をうろつくいていると、案内板が目に入った。おお、wi-fiステーションがあるではないか!
これでiphoneでも見て暇がつぶせる!と思って喜び勇んで行ってみると、wi-fiステーションは金を払って何分使えるようなシステムのようで、当然窓口は閉まっていた。念のため、ネットブラウザを起動してみるが、空港のHPのみは見ることができるものの、それ以降は手続きして金払え、と書いてあるようだった(事実かどうかは不明。英語だったしね)。
とにかく、空港内をうろうろしているうちに、ようやくチェックインが始まる。

機械類をお盆の上に出し、身体検査を受けていたその時、突如沈黙を保ち続けるはずのiphoneが振動を始めた。

「着信:(会社の先輩)」

液晶に表示されていた、その文字を見て驚愕する。
ちなみに、有給取得にあたっては、休みを取る旨は話したものの、「カードゲームの大会に行ってきます!」はおろか、海外に出かけるとも言っていない。
向こうは「普通に国内にいるだろう」と思ってかけてきたのだろうが、ここは、フランスはパリのシャルルドゴール空港である。
iphoneの本気を垣間見たような気がしつつ、仕事の電話を終えて、搭乗口付近へ。なお、搭乗までまだたっぷり二時間である。

とりあえず、手持ちぶさたなので喫煙所にでも、と、うろうろしてみる。しかし、ない。またうろうろしてみる…が、どこにもない。
そう、どうやら喫煙所は空港内にはないようなのだった。チェックインを済ませた以上、外に出て吸うわけにもいかず、仕方ないので延々と「勇者のくせに(ryをやって時間をつぶす。

 最終面で何度もゲームオーバーになり、キレそうになりだした頃、ようやく搭乗開始。暇だから寝ていたら、いつの間にか、アムステルダム上空へ到着していた。

今度は無事にベルトコンベアを流れてきたリュックを受け取り、空港を飛び出す。

掲示板頼りに、taxiステーションを探し出して、早速乗り込む。運ちゃんに尋ねる。
「あ~いうぉんつとぅーご~つーアムステルダム・コンベンション・センター!」
調べておいた、会場名を口にする。
…が。
「アムステルダム・コンベンション・センター?」

通じなかった。

こ れ は 想 定 外 だ
あわあわしながら、なにか持っていなかったか考える。…しかし、持って行ったものは前述の通りである!これは積んだか!と思うも、一縷の望みをかけてiphoneを取り出す。この近くにwi-fiステーションさえあれば…?
通信エラー。
しかし、光明差す。
「設定から、データローミングをONにしてください」の表示。
祈るような思いで設定を変更すると、バッチリつながる!
急いで公式ページを立ち上げ、運転手に「ここ!」と住所表記を見せると「アイシー」と、力強く頷く。

ってか、会場名をよくよく確認したところ、アムステルダム・コンベンション・ファクトリーだった。

会場へ向かう傍ら、運ちゃんに「日本から来たんだけど、向こうはまだクソ暑いんだ。だから、俺Tシャツしか持ってきてないよ!」
と拙い英語で話しかけると、
「クレイジーwwww」と笑われる。陽気な運ちゃんだったので、あれこれ話しかけてくれる。そこらへんでスウェットでも買ったらいいよ、とか、明日になったら少しは暖かくなるみたいだぜ!とか。

しかし、いつまでたっても会場に着く気配がない。運賃表示が30ユーロを超え、少し不安になってくる。

「会場ってまだつかないんかい?」
と尋ねると、
「この住所は西アムステルダムだからな。さっきまで俺たちがいたのが東アムステルダムだから、ちょっと遠いのさ」
「まだだいぶかかりそう?」
「いや、もうすぐさ。アムステルダムは狭いからな」
とのこと。
ほどなくして、運ちゃんのいうとおり、会場へ到着。タクシー代金は47ユーロだった。たけえ。ってか遠い。
会場に描かれた「PRO TOUR」の文字が目に入り、ついに来たぜ!と力が入る。

会場に乗り込むと、むわっとした、熱気が頬を撫でた。

それは、今まで感じていた「外国」という、初体験の空気とは全く異質な、俺たちトーナメントプレイヤーがよく知る、真剣勝負の場、特有の空気。

続く(たぶん?)。

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