その日のパリは寒かった。
気温は恐らく10度ほど。半袖Tシャツでうろつく気温ではない。
タバコに火を灯し、十数時間ぶりの喫煙を震えながら楽しむ。
なお、今さらだが、この旅行に俺が準備していたものを振り返ってみたいと思う。
リュック(以下リュック内荷物) ※荷物で預け入れている。
半袖Tシャツ 三枚
パンツ
ジーパン
ジーパン(ハーフパンツ)
靴下
トレード用カード
デッキケース 二つ
予備のタバコ 三箱
コンタクトケース・保存液
ポーチ(以下ポーチ内荷物) 現在も持ってうろうろしている
エクテンのデッキとデッキケース
スタンのデッキとデッキケース
財布(中には1320ユーロと8万ほどの日本円)
パスポート
DSLL(メタルマックス3)
PSP(勇者のくせになまいきだ3)
iphoneとDSとPSPの充電器
なお、リュックの中には、丸ごとポーチが入るようになっている。
あとは、iphoneとタバコとライターがポケットに入っているのとともに、食い残した草加せんべいを手に持っていた。
以上が用意した荷物の全てだった。
二本続けて吸ったタバコを、灰皿とおぼしき物体に叩き込み、出発ゲートへ向かう。まだ搭乗まで四時間ほどあったが、本当にすることが何もないので仕方がない。
心配事の一つに「海外の空港で、搭乗口とかってすぐ見つかるものなのだろうか」というものがあった。中国に出かけた友人の体験談などを聞くと、「空港が広すぎて出るまでに半日かかった!」などと聞いていたためだ。だが、特に迷うことなく、俺が搭乗するEゲートはすぐに見つかった。
すぐに見つかりすぎて時間を持て余してしまったくらいだ。
ゲート周辺を見渡すと、同じようにチェックイン開始を待っていると思われる人々が、椅子の上で毛布にくるまっていた。
俺も暇だし、寝ていようかと少し考えるが、飛行機で八時間ほど睡眠をとっていたため、全く眠くない。かといって、暇をつぶすところもない…。ぶらぶらと空港内をうろつくいていると、案内板が目に入った。おお、wi-fiステーションがあるではないか!
これでiphoneでも見て暇がつぶせる!と思って喜び勇んで行ってみると、wi-fiステーションは金を払って何分使えるようなシステムのようで、当然窓口は閉まっていた。念のため、ネットブラウザを起動してみるが、空港のHPのみは見ることができるものの、それ以降は手続きして金払え、と書いてあるようだった(事実かどうかは不明。英語だったしね)。
とにかく、空港内をうろうろしているうちに、ようやくチェックインが始まる。
機械類をお盆の上に出し、身体検査を受けていたその時、突如沈黙を保ち続けるはずのiphoneが振動を始めた。
「着信:(会社の先輩)」
液晶に表示されていた、その文字を見て驚愕する。
ちなみに、有給取得にあたっては、休みを取る旨は話したものの、「カードゲームの大会に行ってきます!」はおろか、海外に出かけるとも言っていない。
向こうは「普通に国内にいるだろう」と思ってかけてきたのだろうが、ここは、フランスはパリのシャルルドゴール空港である。
iphoneの本気を垣間見たような気がしつつ、仕事の電話を終えて、搭乗口付近へ。なお、搭乗までまだたっぷり二時間である。
とりあえず、手持ちぶさたなので喫煙所にでも、と、うろうろしてみる。しかし、ない。またうろうろしてみる…が、どこにもない。
そう、どうやら喫煙所は空港内にはないようなのだった。チェックインを済ませた以上、外に出て吸うわけにもいかず、仕方ないので延々と「勇者のくせに(ryをやって時間をつぶす。
最終面で何度もゲームオーバーになり、キレそうになりだした頃、ようやく搭乗開始。暇だから寝ていたら、いつの間にか、アムステルダム上空へ到着していた。
今度は無事にベルトコンベアを流れてきたリュックを受け取り、空港を飛び出す。
掲示板頼りに、taxiステーションを探し出して、早速乗り込む。運ちゃんに尋ねる。
「あ~いうぉんつとぅーご~つーアムステルダム・コンベンション・センター!」
調べておいた、会場名を口にする。
…が。
「アムステルダム・コンベンション・センター?」
通じなかった。
こ れ は 想 定 外 だ
あわあわしながら、なにか持っていなかったか考える。…しかし、持って行ったものは前述の通りである!これは積んだか!と思うも、一縷の望みをかけてiphoneを取り出す。この近くにwi-fiステーションさえあれば…?
通信エラー。
しかし、光明差す。
「設定から、データローミングをONにしてください」の表示。
祈るような思いで設定を変更すると、バッチリつながる!
急いで公式ページを立ち上げ、運転手に「ここ!」と住所表記を見せると「アイシー」と、力強く頷く。
ってか、会場名をよくよく確認したところ、アムステルダム・コンベンション・ファクトリーだった。
会場へ向かう傍ら、運ちゃんに「日本から来たんだけど、向こうはまだクソ暑いんだ。だから、俺Tシャツしか持ってきてないよ!」
と拙い英語で話しかけると、
「クレイジーwwww」と笑われる。陽気な運ちゃんだったので、あれこれ話しかけてくれる。そこらへんでスウェットでも買ったらいいよ、とか、明日になったら少しは暖かくなるみたいだぜ!とか。
しかし、いつまでたっても会場に着く気配がない。運賃表示が30ユーロを超え、少し不安になってくる。
「会場ってまだつかないんかい?」
と尋ねると、
「この住所は西アムステルダムだからな。さっきまで俺たちがいたのが東アムステルダムだから、ちょっと遠いのさ」
「まだだいぶかかりそう?」
「いや、もうすぐさ。アムステルダムは狭いからな」
とのこと。
ほどなくして、運ちゃんのいうとおり、会場へ到着。タクシー代金は47ユーロだった。たけえ。ってか遠い。
会場に描かれた「PRO TOUR」の文字が目に入り、ついに来たぜ!と力が入る。
会場に乗り込むと、むわっとした、熱気が頬を撫でた。
それは、今まで感じていた「外国」という、初体験の空気とは全く異質な、俺たちトーナメントプレイヤーがよく知る、真剣勝負の場、特有の空気。
続く(たぶん?)。
気温は恐らく10度ほど。半袖Tシャツでうろつく気温ではない。
タバコに火を灯し、十数時間ぶりの喫煙を震えながら楽しむ。
なお、今さらだが、この旅行に俺が準備していたものを振り返ってみたいと思う。
リュック(以下リュック内荷物) ※荷物で預け入れている。
半袖Tシャツ 三枚
パンツ
ジーパン
ジーパン(ハーフパンツ)
靴下
トレード用カード
デッキケース 二つ
予備のタバコ 三箱
コンタクトケース・保存液
ポーチ(以下ポーチ内荷物) 現在も持ってうろうろしている
エクテンのデッキとデッキケース
スタンのデッキとデッキケース
財布(中には1320ユーロと8万ほどの日本円)
パスポート
DSLL(メタルマックス3)
PSP(勇者のくせになまいきだ3)
iphoneとDSとPSPの充電器
なお、リュックの中には、丸ごとポーチが入るようになっている。
あとは、iphoneとタバコとライターがポケットに入っているのとともに、食い残した草加せんべいを手に持っていた。
以上が用意した荷物の全てだった。
二本続けて吸ったタバコを、灰皿とおぼしき物体に叩き込み、出発ゲートへ向かう。まだ搭乗まで四時間ほどあったが、本当にすることが何もないので仕方がない。
心配事の一つに「海外の空港で、搭乗口とかってすぐ見つかるものなのだろうか」というものがあった。中国に出かけた友人の体験談などを聞くと、「空港が広すぎて出るまでに半日かかった!」などと聞いていたためだ。だが、特に迷うことなく、俺が搭乗するEゲートはすぐに見つかった。
すぐに見つかりすぎて時間を持て余してしまったくらいだ。
ゲート周辺を見渡すと、同じようにチェックイン開始を待っていると思われる人々が、椅子の上で毛布にくるまっていた。
俺も暇だし、寝ていようかと少し考えるが、飛行機で八時間ほど睡眠をとっていたため、全く眠くない。かといって、暇をつぶすところもない…。ぶらぶらと空港内をうろつくいていると、案内板が目に入った。おお、wi-fiステーションがあるではないか!
これでiphoneでも見て暇がつぶせる!と思って喜び勇んで行ってみると、wi-fiステーションは金を払って何分使えるようなシステムのようで、当然窓口は閉まっていた。念のため、ネットブラウザを起動してみるが、空港のHPのみは見ることができるものの、それ以降は手続きして金払え、と書いてあるようだった(事実かどうかは不明。英語だったしね)。
とにかく、空港内をうろうろしているうちに、ようやくチェックインが始まる。
機械類をお盆の上に出し、身体検査を受けていたその時、突如沈黙を保ち続けるはずのiphoneが振動を始めた。
「着信:(会社の先輩)」
液晶に表示されていた、その文字を見て驚愕する。
ちなみに、有給取得にあたっては、休みを取る旨は話したものの、「カードゲームの大会に行ってきます!」はおろか、海外に出かけるとも言っていない。
向こうは「普通に国内にいるだろう」と思ってかけてきたのだろうが、ここは、フランスはパリのシャルルドゴール空港である。
iphoneの本気を垣間見たような気がしつつ、仕事の電話を終えて、搭乗口付近へ。なお、搭乗までまだたっぷり二時間である。
とりあえず、手持ちぶさたなので喫煙所にでも、と、うろうろしてみる。しかし、ない。またうろうろしてみる…が、どこにもない。
そう、どうやら喫煙所は空港内にはないようなのだった。チェックインを済ませた以上、外に出て吸うわけにもいかず、仕方ないので延々と「勇者のくせに(ryをやって時間をつぶす。
最終面で何度もゲームオーバーになり、キレそうになりだした頃、ようやく搭乗開始。暇だから寝ていたら、いつの間にか、アムステルダム上空へ到着していた。
今度は無事にベルトコンベアを流れてきたリュックを受け取り、空港を飛び出す。
掲示板頼りに、taxiステーションを探し出して、早速乗り込む。運ちゃんに尋ねる。
「あ~いうぉんつとぅーご~つーアムステルダム・コンベンション・センター!」
調べておいた、会場名を口にする。
…が。
「アムステルダム・コンベンション・センター?」
通じなかった。
こ れ は 想 定 外 だ
あわあわしながら、なにか持っていなかったか考える。…しかし、持って行ったものは前述の通りである!これは積んだか!と思うも、一縷の望みをかけてiphoneを取り出す。この近くにwi-fiステーションさえあれば…?
通信エラー。
しかし、光明差す。
「設定から、データローミングをONにしてください」の表示。
祈るような思いで設定を変更すると、バッチリつながる!
急いで公式ページを立ち上げ、運転手に「ここ!」と住所表記を見せると「アイシー」と、力強く頷く。
ってか、会場名をよくよく確認したところ、アムステルダム・コンベンション・ファクトリーだった。
会場へ向かう傍ら、運ちゃんに「日本から来たんだけど、向こうはまだクソ暑いんだ。だから、俺Tシャツしか持ってきてないよ!」
と拙い英語で話しかけると、
「クレイジーwwww」と笑われる。陽気な運ちゃんだったので、あれこれ話しかけてくれる。そこらへんでスウェットでも買ったらいいよ、とか、明日になったら少しは暖かくなるみたいだぜ!とか。
しかし、いつまでたっても会場に着く気配がない。運賃表示が30ユーロを超え、少し不安になってくる。
「会場ってまだつかないんかい?」
と尋ねると、
「この住所は西アムステルダムだからな。さっきまで俺たちがいたのが東アムステルダムだから、ちょっと遠いのさ」
「まだだいぶかかりそう?」
「いや、もうすぐさ。アムステルダムは狭いからな」
とのこと。
ほどなくして、運ちゃんのいうとおり、会場へ到着。タクシー代金は47ユーロだった。たけえ。ってか遠い。
会場に描かれた「PRO TOUR」の文字が目に入り、ついに来たぜ!と力が入る。
会場に乗り込むと、むわっとした、熱気が頬を撫でた。
それは、今まで感じていた「外国」という、初体験の空気とは全く異質な、俺たちトーナメントプレイヤーがよく知る、真剣勝負の場、特有の空気。
続く(たぶん?)。
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