先日、世界選手権会場で(なお、権利は持っていない)オーシさんに「日記はいつ終わるの?」と尋ねられたので答えておこう。俺の日記はエンドレスであると。繰り返すわけではなく、ただ結末、あるいはオチといった部分が欠如しているだけであると。

さて。

チラホラとミラディン包囲群の情報も出始め、現環境―もちろん、M11、ZEN、WWK、ROE、SOMのこと―ともお別れの時期が近づいてきた。勝手にこの環境におけるメタゲームの流れと、自分のデッキの移り変わりを振り返っていきたい。

実は、ミラディンの傷跡発売当時、俺のマジックに対するモチベーションは限りなく低下していた。

その頃のメタゲームは、まさにヴァラクート一強。ときおりおもしろそうなデッキは見かけるものの、ヴァラクートをメタり、いかにヴァラクートを妨害するか。そこに主眼がおかれていた。そして、その傾向は、現在も変わっていない。
しかし、それも無理はない。ヴァラクートに必要なパーツは、ただ土地を多く並べること。そして、タイタンあるいは報復者を設置すれば、ほぼゲーム終了。この強力なコンボデッキを止めるために、アンチヴァラクートとしてスタンダードをプレイする者は二つの方向性を見出していた。

一つは、ヴァラクートが対応できない、高速のビートダウンを仕掛けること。
そしてもう一つは、手札破壊や、カウンターなどを用いて、ヴァラクートを機能不全に陥れるコントロール。

話は逸れるが、こうして振り返ってみると、コンボを主軸としてビートダウン、そしてコントロールが共存していた環境であったのかもしれない。

やる気のなかった俺は、とりあえずコンボに手を出した。ミミックの大桶のカードパワーに注目し、黒単ミミックをプレイした…が、「ミミックの大桶をプレイする→再利用して嬉しい生物を墓地に送る→さらに3マナ支払い、コピートークンを場に出す」という、もっさりした動きは、高速化したビートダウンに到底間に合うものではなかった。
当時のビートダウンはといえば、上陸ボロスを筆頭に、同盟者、赤単などが主な選択肢としてあげられており、これらは一体あたりのアタックによるダメージ量が大きく、ブロッカーの必要性を強く感じた。そのため、聖句札の死者を大量の低マナアーティファクト(永遠溢れの杯、キマイラ的大群、伝染病の留め金など)とともに採用してみるも、やはりおまけに過ぎないアーティファクトのカードパワーはたかが知れており、結果としてデッキパワーの低下を下げていった。
カード単体の力の低さをシナジーで補うため、光明の大砲を採用するが、結果は惨憺たるもの。この根本から歪んでしまったデッキは、メタゲームの奔流の中で生きる場を見出すことは、遂に叶わなかった。

デッキ「黒茶単」

強迫 3
コジレックの審問3
キマイラ的大大群 1
破滅の刃2
血の署名4
永遠溢れの杯4
伝染病の留め金 2
聖句札の死者 4
光明の大砲 3
消耗の蒸気 2
弱者の消耗 1
精神ヘドロ 3
墓所のタイタン 2
ワームとぐろエンジン 1
他沼

デッキの終焉を感じ、次なるデッキ作製に着手する。
全体的なメタは、当然のことながら俺が負けている間にも流れ続けており、白単アーマーが勢力を伸ばしていた。

そこで、白緑青、バントカラーのアーマーデッキを作製する。シャーマン+蔦で絶え間ないビートダウンを行い、隙あらばアーマーで撲殺する。蔦の補助として謎鍛冶、トリンケットを採用。さらには生物が多く並ぶ特性を利用し、獣使いの昇天を投入。我ながら天才的だ。

デッキ「Armored Accension」

メムナイト 4
羽ばたき飛行機械 4
きらめく鷹 4
聖なる秘宝の探索 4
戦隊の鷹 4
獣相のシャーマン 4
謎鍛冶 2
礎石のまどうし 3
復讐蔦 4
獣使いの昇天 2
アージェンタムの鎧 2
土地23

そう確信するも、1-2・1-2の戦績で目が覚める。簡単な妨害で勝ち手段が消えてしまう、典型的な一人回し専用デッキであった。
なお、この頃には吸血鬼がそのデッキパワーを不動のものとし、多くのプレイヤーが巨大に膨れあがった血の座の吸血鬼に屠られていた。

俺は完全に方向性を見失った結果、チームスタンでは目覚めの領域バントビッグマナ(マナは出るけど何もしない)で置物(2-4)と化していた。

しかし、13種類のサイドボードスペースを圧迫したこのデッキは、元アイディアこそただの紙束だったものの、いくつかの天啓をもたらした。

デッキ「目覚めしものは」

シルヴォクの生命杖 1
呪文貫き2
探検 4
戦隊の鷹 4
マナ漏出 4
石鍛冶の神秘家 1
精神と肉体の剣 1
目覚めの領域 3
野生語りのガラク 2
審判の日 3
精神を刻む者、ジェイス 4
ギデオン・ジュラ 2
他忘れた

 さて、青黒・青白コンが勢力を拡大し続ける現環境下において、ゲームスピードは明らかに遅くなってきている。
互いに島を置きあったとき、両プレイヤーはジェイスを着地させるタイミングを計り合い、ドローゴーのみでターンが過ぎていく。
こうしたゲーム展開において、所有マナの差を拡大させていくことは、ジェイスをプレイしつつカウンターを構えられることにつながるため、非常に強力な戦略である。

また、カルニの心臓の探検、肉体と精神の剣や光輝王の昇天、アージェンタムの鎧(と聖なる悲報の探索)など、現環境下は強力なエンチャント・アーティファクトで溢れかえっており、必然的に酸のスライムは腐ることはほとんどない…、どころか、場に出た後も墓所のタイタンが停まってくれる(ただし、トークンは殴ってくるが)など、メタゲームが鈍足化したために、かなり有効であると感じた。

 そこで、バントビッグマナに酸スラを4枚つっこみ、さらに広がりゆく海を4枚、あげくの果てにはテラストドンをフィニッシャーとして採用する、バントランデスを作成。年末の晴れる屋スタンに突撃すると、元々捨てていた赤単以外に勝ち、4-1。ジョラーガの樹語りと際を当日に買ったり、電車の中で思いついたコブラを採用したりと、すごく適当なデッキ構成だった割には上出来といえる。

デッキ「鍋会 in Hanoi宅 」
  
1《広漠なる変幻地》
1《進化する未開地》
1《剃刀境の茂み》
3《金属海の沿岸》
2《天界の列柱》
4《地盤の際》
4《森》
3《島》
1《活発な野生林》
4《霧深い雨林》
2《新緑の地下墓地》

4《ジョラーガの樹語り》
4《水蓮のコブラ》
2《草茂る胸壁》
4《酸のスライム》
2《テラストドン》

1《呪文貫き》
2《漸増爆弾》
4《広がりゆく海》
4《マナ漏出》
4《精神を刻む者、ジェイス》
1《滞留者ヴェンセール》
1《決断の手綱》

サイド
1《ミミックの大桶》
1《複製の儀式》
1《失脚》
3《ペラッカのワーム》
2《絡み線の壁》
3《強情なベイロス》
1《自然の要求》
1《呪文貫き》
2《召喚の罠》

 しかし、現段階での出来には不満を抱いていた。適当に作っただけあって、メイン・サイド共にかなり怪しいパーツが多い(特に、漸増爆弾を起動すると相手よりも自分の被害が甚大となる)。バントカラーって言っても、白いカードはヴェンセールのみだったし。
 というわけで、白い部分を黒に変え、フィニッシャーとして墓所のタイタンを起用。

デッキ「ブラックマトリックス」

極楽鳥 4
水蓮のコブラ 4
吸血鬼の夜鷲4
酸のスライム 4
墓所のタイタン 4
呪文貫き 3
マナ漏出 4
精神を刻む者、ジェイス 4
複製の儀式 1
召還の罠 2
他、地盤の際3含む土地

 このカードは出すだけで簡単に勝てて楽だが、デッキ全体としてはいまいちパッとしない。特に前段にある、「マナ差を広げてカウンターを構え、ジェイス」の動きが出来ればいいが、こちらのマナクリ部分が、相手にはハンデス・除去となっているため、こうした戦略が通用しないことが非常に多い。

 そもそも、当初のコンセプトである、酸のスライムで相手の土地を壊し、機能不全に陥れるランデス戦略と、マナを残して相手の脅威に対応していく、パーミッション戦略がかみ合っていないことは明白だった(2週間以上気がつかなかったが)。

 ここまで先週の田都記念のできごと。1-3ドロップを経て、心が折られかけ、更なるメスを入れようと試みる。カウンターをハンデスに入れ換え、メインフェイズからごりごり動いていけるようにする。この時点で青いカードは新ジェイスおよび、複製の儀式、そしてサイドの呪文貫きのみとなった。

 サイドの呪文貫きについても、実質的にはコジレック・強迫・秋の帳で代用可能であるため、デッキが青い必要は、ほぼなくなる。新ジェイスだけは他のカードで代用が効かない、超パワーカードであるが、アグロな方向性へとデッキが舵を切った今、切り捨てられた。緑黒青という、不安定なマナベースであったことも要因の一つであったが。

 ついに、青が切り捨てられ、赤へと差し替えられる。黒赤緑…そう、ジャンドカラーへと舵を切る。

デッキ「ジャンド」

極楽鳥 4
水蓮のコブラ 4
吸血鬼の夜鷲 3
ゴブリンの廃墟飛ばし 4
酸のスライム 4
墓所のタイタン 4
コジレックの審問 3
強迫2
稲妻 3
不気味な発見 1
召還の罠3
地盤の際2含む土地25

でPWCでは4-2。

当たった相手は
青黒(カカオ氏)○
白単アーマー○
白緑黒蔦シャーマン○
青黒(あっきー)×
赤緑ヴァラクート(AKKA)×
上陸ボロス(Hanoi)○

 という感じだったが、一回戦目の青黒は相手の事故に助けられていたため、二大メタである青黒・ヴァラクートに対して、現状の構成ではあまり勝てていないという問題点が再び浮上。

 また、黒黒・赤赤・緑緑を3マナ以降に要求するという、鬼のようなマナベースの問題もきつく、更なる改善が求められた。
しかし、赤を加えて除去を多くサイドにとることによって、ビートダウン体制が格段に向上した手ごたえはあった。次回にはもうすこしマシな構成になると思う。

 もうじき新エキスパンションが発売するのとともに、環境は激変していくことと思うが、今後も楽しくマジックをしていくために、多くの電波を受信していこうと思う。
 終わり。

コメント

nophoto
ohshi
2011年1月17日15:07

そうか…オチがないというオチだったのか!

デッキ構築がなかなかイイ感じで迷走してるようでw
ココは初心に戻って単色で構築すると、何かイイ事あるかもね。

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