その③~まじでだらだら続く~
その③~まじでだらだら続く~
そんなわけで(?)、会場内にあった売店でホットドッグとハンバーガーなどで腹を満たし、適当にマジックを楽しんで初日を終える。

すわ、溜まったスタックを解決せねばなるまい。
具体的には、これから宿泊するホテルを探すこと。日本ならばホテルなど決めていなくても、やれマンガ喫茶だ、やれ健康ランドだ、と男一人泊まるところなど心配する必要など全くないが、こと外国となれば話は別。
特に、オランダの夜がどんなものか、気温が寒いだろうということくらいしか情報はない。遠く離れた異国の地、しかも季節はほぼ真夏の夜に凍死などしたくない。痛いニュースなどに掲載されては、まさに末代までの恥。

まだ人がごったがえす会場(※写真1)を抜け出して、ホテル探しへ。
…この時点で、まだ甘い思考が自分の中に残っていたことを痛感する。それは、「仮にも、世界大会が行われるような会場だし、近くは栄えているだろう。つまり、会場周辺をうろつけば、ホテルの一つや二つ、見つかるだろう」というもの。

もちろん、そんなことはなかった。

写真2を見ていただきたい、これは会場を出て、すぐ隣の路上を撮影したものである。まっすぐ伸びるその道路を200メートルほど進み、俺は踵を返した。

こわすぎる!

写真だけだとよくわからないと思うが、ひどく寂れているのだ。
平日の昼間(といっても6時くらいだが、まだ明るかった)とはいえ、人の気配などまるでなく、古びた倉庫に、「これ日本だったらぜってぇ車検通らねえだろ」と思わせる、ホイールの錆付いた路駐車。

不意に、サイボーグ009のジェット団とシャーク団のボス同士がナイフを持ち、ナワバリ争いのための決闘をしているシーンが脳裏をかけめぐる。

いかんいかん、ここは日本を遠く離れた異国の地。争うことを忘れ、当たり前のように日々平和を享受して生きる日本人など、彼らにとってはウサギ同然。草食獣は群れを離れた瞬間、肉食獣の餌食になる運命なのだ…。

などと、わけのわからない妄想に浸りつつ、会場前へと再び戻る。
そう、そんな危険を侵し、こっちにあるのかないのかわからないホテルを探すまでもなく、地元民の力を借りればいいじゃないか!(極力安全なやつ!)

というわけで、タイミングよく会場前に停まっていたタクシーを捕まえる。

「へーい、えくすきゅーずみー、あいはぶのーほてるとぅでい、あいうぉんととぅーるっきんぐふぉーほてるとぅでい!!」

といった按配で、例によって合っているのか間違っているのかよくわからないが、たどたどしく英語で尋ねる。
やはり最初はわからないようだったが、何度も「ノーホテル!」と壊れたCDプレイヤーのように繰り返していると、なんとか通じたらしい。「乗れ」とばかりに助手席のドアを開き、俺が席に着くと共にタクシーは走り出した。そのまま無線でいずかかへと連絡を取り合い、折り合いがついたらしくこちらへ尋ねてくる。
「何泊するつもりだ?」
「えーっと(今日、明日、明後日…)、すりーでいず!」
「オーケー」
また何事か話しつつ、メモを取り、通話を終えた。

「なんちゃらかんちゃら、99ユーロ。オーケー?」

部屋は空いているようだが、一泊99ユーロだよ、いいか?ってことのようだ。もうなんでもいいよ、疲れたし。その後もオーケーオーケー繰り返していると、ようやくホテルへと到着。
「この近くには他にもいくつかホテルがあるが、俺が案内したところが一番いいホテルだぜ!」というようなことを言い残し、タクシーは去っていった。
その後、アムスでは珍しく、若い黒人のあんちゃんが経営していると思われるホテルにチェックインを済ませる(なお、会計は前金だった。また、パスポートのコピーもとられたが、そういうものなのか?)。

ようやく休める、と思ってほっとするが、カードキーの使い方がわからず、今一度黒人のあんちゃんに使用方法を実演してもらい、部屋へ。

ここでやるべきことはすでにいくつか決まっていた。
まず、一つは現金の分割化。
先に述べたとおり、治安の良し悪しが全くわからない海外をほっつき歩く中で、全財産を持ち歩くのは危険極まりなく、一応シングルとして借り切ったホテルに置いたほうが安全だろう。そして、万が一ホテルに空き巣が入り込んだ場合を考慮して、予備として持ってきていたデッキケースの中に、手元に残す200ユーロ以外(日本円含む)を放り込む。

次に、風呂。
汚い話になって申し訳ないが、実は先日の日記にもあったが、木曜日・仕事→終わったら空港、飛行機→そのまま16時間経過してアムステルダム→一日過ぎる。という過密スケジュールだったため、定かではないが、48時間近く風呂に入っていないのだった。
部屋風呂、ならぬ部屋シャワーを浴びる(バスタブは無かった)。
そんなわけで限りなく生ゴミに近い状態でいた俺だったが、シャワーを浴びて気がついたことがある。
ここ、歯ブラシもカミソリもない。かろうじてあるのはボディソープ、シャンプー、石鹸のみ。

タクシーの運ちゃんがいった「ここが一番いいホテル」というセリフを思い出し、ちょっとイラっとするが、すでに3泊分の宿泊代金は支払っており、後の祭りであった。まぁ、オランダのホテルが全体的にアメニティグッズの品揃えが悪いのかもわからんしな。
そして、残るは…、洗濯である。
実は下着類は1日分の予備しか持ってきていない。石鹸を駆使し、パンツと靴下をわしわしと荒い、スーツかけにブラ下げる。

人心地ついたところで、俺はホテルを後にした。オランダの日は長く、辺りはまだ明るかった。
全く見覚えの無い町をふらふらと彷徨い、ある一軒の店に掲げられた看板を目にして自動ドアをくぐる。

「PC PARTS」とどでかく掲げられたその店内は狭かったが、壁際には所狭しと電子部品が陳列していた。もちろん、ノートPCを持参しているわけではないので、それらには興味はない。目当ての品が見つからず、店番をしていた店員に尋ねる。
「あーいむ、るきんふぉー、あいふぉんちゃーじゃー」
「アイフォン、チャージャー?」
あいにく、店番をしていたのは70過ぎているようなじいちゃんであった。
それはともかく、先日の日記にあった「iphoneの充電器」とは、正しくは「日本のiphoneの充電器」なのであった。プラグや電圧が異なるここオランダでは、本当の意味で、ただの荷物だった。こちらでもiphoneによるネットブラウジングが可能であることが判明した今、この異国の地で俺が行きぬくためには、その力を可能な限り使っていくことが望ましい!というわけで、手近な電気屋を回っていたという次第である。
しかし、世界を席巻している(と、俺が勝手に思い込んでいる)iphoneも、これほどまでのじいちゃんのアンテナには届いていないようだった。
サッパリ通じていないので、とりあえず鞄から実物(日本版の充電器)を取り出し、じいちゃんの鼻先に突きつけ、
「ディス!ディス!」
と繰り返す。
なんとか通じたようで、じいちゃんは店のバックヤードに引っ込むと、ビニール袋に包まれたコードのようなものを持ってきた。
その両端には、日本人には馴染みのない、三本口のコンセントと、見慣れたコネクタ。
実際に店先のコンセントを借りて充電可能か試させてもらうと、確かに液晶には充電中を示すグラフィックが表示される。

じいちゃんに例をいい、代金を支払ってホテルへ、散々迷いながらも帰り着く。時間は八時過ぎ。
旅の疲れですぐ眠れそうな気もしたが、さすがにそんなこともなく、目は冴えたままだった。しかもひどく空腹である。
ただ、夜道をうろついても、どこで食事ができるかもわからないとあっては、食事に出る気はしない。
結局、充電器が確保されたのをいいことに、iphoneのyoutubeアプリで「狼と香辛料」を4話ほどたて続けに見て、「やっぱり面白いなあ」とありきたりな感想を抱いた後に就寝。

ようやくオランダ初日終了。

その②

2010年10月4日 TCG全般
その日のパリは寒かった。
気温は恐らく10度ほど。半袖Tシャツでうろつく気温ではない。
タバコに火を灯し、十数時間ぶりの喫煙を震えながら楽しむ。




なお、今さらだが、この旅行に俺が準備していたものを振り返ってみたいと思う。


リュック(以下リュック内荷物) ※荷物で預け入れている。
半袖Tシャツ 三枚
パンツ
ジーパン
ジーパン(ハーフパンツ)
靴下
トレード用カード
デッキケース 二つ
予備のタバコ 三箱
コンタクトケース・保存液

ポーチ(以下ポーチ内荷物) 現在も持ってうろうろしている
エクテンのデッキとデッキケース
スタンのデッキとデッキケース
財布(中には1320ユーロと8万ほどの日本円)
パスポート
DSLL(メタルマックス3)
PSP(勇者のくせになまいきだ3)
iphoneとDSとPSPの充電器

なお、リュックの中には、丸ごとポーチが入るようになっている。
あとは、iphoneとタバコとライターがポケットに入っているのとともに、食い残した草加せんべいを手に持っていた。
以上が用意した荷物の全てだった。

二本続けて吸ったタバコを、灰皿とおぼしき物体に叩き込み、出発ゲートへ向かう。まだ搭乗まで四時間ほどあったが、本当にすることが何もないので仕方がない。

心配事の一つに「海外の空港で、搭乗口とかってすぐ見つかるものなのだろうか」というものがあった。中国に出かけた友人の体験談などを聞くと、「空港が広すぎて出るまでに半日かかった!」などと聞いていたためだ。だが、特に迷うことなく、俺が搭乗するEゲートはすぐに見つかった。
すぐに見つかりすぎて時間を持て余してしまったくらいだ。

ゲート周辺を見渡すと、同じようにチェックイン開始を待っていると思われる人々が、椅子の上で毛布にくるまっていた。

俺も暇だし、寝ていようかと少し考えるが、飛行機で八時間ほど睡眠をとっていたため、全く眠くない。かといって、暇をつぶすところもない…。ぶらぶらと空港内をうろつくいていると、案内板が目に入った。おお、wi-fiステーションがあるではないか!
これでiphoneでも見て暇がつぶせる!と思って喜び勇んで行ってみると、wi-fiステーションは金を払って何分使えるようなシステムのようで、当然窓口は閉まっていた。念のため、ネットブラウザを起動してみるが、空港のHPのみは見ることができるものの、それ以降は手続きして金払え、と書いてあるようだった(事実かどうかは不明。英語だったしね)。
とにかく、空港内をうろうろしているうちに、ようやくチェックインが始まる。

機械類をお盆の上に出し、身体検査を受けていたその時、突如沈黙を保ち続けるはずのiphoneが振動を始めた。

「着信:(会社の先輩)」

液晶に表示されていた、その文字を見て驚愕する。
ちなみに、有給取得にあたっては、休みを取る旨は話したものの、「カードゲームの大会に行ってきます!」はおろか、海外に出かけるとも言っていない。
向こうは「普通に国内にいるだろう」と思ってかけてきたのだろうが、ここは、フランスはパリのシャルルドゴール空港である。
iphoneの本気を垣間見たような気がしつつ、仕事の電話を終えて、搭乗口付近へ。なお、搭乗までまだたっぷり二時間である。

とりあえず、手持ちぶさたなので喫煙所にでも、と、うろうろしてみる。しかし、ない。またうろうろしてみる…が、どこにもない。
そう、どうやら喫煙所は空港内にはないようなのだった。チェックインを済ませた以上、外に出て吸うわけにもいかず、仕方ないので延々と「勇者のくせに(ryをやって時間をつぶす。

 最終面で何度もゲームオーバーになり、キレそうになりだした頃、ようやく搭乗開始。暇だから寝ていたら、いつの間にか、アムステルダム上空へ到着していた。

今度は無事にベルトコンベアを流れてきたリュックを受け取り、空港を飛び出す。

掲示板頼りに、taxiステーションを探し出して、早速乗り込む。運ちゃんに尋ねる。
「あ~いうぉんつとぅーご~つーアムステルダム・コンベンション・センター!」
調べておいた、会場名を口にする。
…が。
「アムステルダム・コンベンション・センター?」

通じなかった。

こ れ は 想 定 外 だ
あわあわしながら、なにか持っていなかったか考える。…しかし、持って行ったものは前述の通りである!これは積んだか!と思うも、一縷の望みをかけてiphoneを取り出す。この近くにwi-fiステーションさえあれば…?
通信エラー。
しかし、光明差す。
「設定から、データローミングをONにしてください」の表示。
祈るような思いで設定を変更すると、バッチリつながる!
急いで公式ページを立ち上げ、運転手に「ここ!」と住所表記を見せると「アイシー」と、力強く頷く。

ってか、会場名をよくよく確認したところ、アムステルダム・コンベンション・ファクトリーだった。

会場へ向かう傍ら、運ちゃんに「日本から来たんだけど、向こうはまだクソ暑いんだ。だから、俺Tシャツしか持ってきてないよ!」
と拙い英語で話しかけると、
「クレイジーwwww」と笑われる。陽気な運ちゃんだったので、あれこれ話しかけてくれる。そこらへんでスウェットでも買ったらいいよ、とか、明日になったら少しは暖かくなるみたいだぜ!とか。

しかし、いつまでたっても会場に着く気配がない。運賃表示が30ユーロを超え、少し不安になってくる。

「会場ってまだつかないんかい?」
と尋ねると、
「この住所は西アムステルダムだからな。さっきまで俺たちがいたのが東アムステルダムだから、ちょっと遠いのさ」
「まだだいぶかかりそう?」
「いや、もうすぐさ。アムステルダムは狭いからな」
とのこと。
ほどなくして、運ちゃんのいうとおり、会場へ到着。タクシー代金は47ユーロだった。たけえ。ってか遠い。
会場に描かれた「PRO TOUR」の文字が目に入り、ついに来たぜ!と力が入る。

会場に乗り込むと、むわっとした、熱気が頬を撫でた。

それは、今まで感じていた「外国」という、初体験の空気とは全く異質な、俺たちトーナメントプレイヤーがよく知る、真剣勝負の場、特有の空気。

続く(たぶん?)。
生きてはいるが、健康診断の結果、なんか「要精密検査」ってなってた!
きちー

それはともかく、ようやくあのときの日記。









そう、それは七月の後半に行われた、とあるスタンのPTQ。

関東の底辺プレイヤーとして、大会に参加しては0-2ドロップして、サイドイベントのドラフトでも負け散らかす、いつもの日常だったはずだった。

しかし、その日だけは、すこしだけ様子が違ってきていた。

まず、参加した大会が、PTQだったこと。アムステルダムへの出場権利と、往復の航空券をめぐって、普段俺が参加している大会よりも二割増し(当社比)でマジな大会だった。

そして、もうひとつは俺がなぜか優勝してしまったことだ。
困った。これは困った。
なにが困ったって、まず、休みが取れない。

旅行代理店の人の話では、木曜発、翌火曜着の日程。つまり、土日を休み換算しても(なお、うちの職場で土日両方休みであることは、まず、無い)木・金・月・火と、四日間も仕事を休まねばならない。九月十月が死ぬほど忙しいうちの職場にとって、これほどの長期休暇を申請することは、つまり「暇をください!」って言うのと同じこと。さすがにこのご時世、どんだけくだらなかろうが、一度つかんだ職を手放すことは自殺行為と思えた。

ならば、どうするか。

決まっている。旅行代理店の連絡先にある、「日程等変更がある場合は、お問い合わせください」の一文。四日の休みがとれないなら、二日にしてしまえばいいじゃないか。

マンガだったら、ピコーンと電球が輝くようなその考えをさっそく俺は実行にうつした。

「木曜夜発、火曜早朝着にはなりませんか?休暇の申請との関係がりますので…」というような旨の一文を添えて、旅行会社へFAXを送り返す。
次なる困りごとは、プロツアーが行われるのが、アムステルダム、つまりオランダだということ。

まず、俺は未だかつて日本を出たことがない。当然パスポートも所持しておらず、また英語能力についても「英語は捨てた!」と日常的に言い放つような学生生活を送っていたのだから、推して知るべし。マジックプレイヤーであるため、英語のカードテキストくらいなら読めるし、理解できるものが多いが、これが生きた英語になると、トンとダメである。何が言いたいかというと、プロツアー公式が読めない。日本語翻訳機能に頼ったとしても、わかるようなわからんような文しか出てこず、あっさりと理解することを放棄した。
ともかく、挑戦するに当たって必要なことは、パスポートの取得と、休みの申請、そして、本戦へ向けてエクテンデッキの調整とドラフトの練習。この三つに絞られた。

というか、それしかしなかった。

日常的に参加していた休日のスタン大会は全て出るのをやめ、LC宅でのドラフト練習に打ち込んだ。結果は惨憺たるもので、チームを死に至らしめる「死神」の二つ名を不動のものとしていたが、まあ仕方ない。

お盆休み直前にはパスポートの申請も無事終了し、毎日深夜までハノイに調整につきあってもらったり、晴れる屋エクテンに出たりして、エクテンデッキの方向性も定まってきた。

後は本戦を迎えるだけ。
と思いきや、実は心配事はまだたくさんあった。オランダでのホテルをまだ決めかねていた、というか、全く考えていなかったのであった。

LCに聞いたところによると、「ミクシィのコミュでまとめてとってくれるよ」ということだったが、肝心のコミュ名まではわからず。

公式からも案内してくれるようだったが、ここで問題発覚。

俺、クレジットカード持ってない。

そうなのだ。

海外で支払いと言えばクレカ。これがなければ金を持っていないのと同義なのだった。そういえば、MOでさえクレカ必須だしな。
これはもうどうしようもない。向こうで無理矢理探すしかない!決意を新たに、滞在スケジュールを練り始める。出発の前日の出来事であった。

前日かよっ!もっと前から練っておけ!そうすればあんなことにはならなかったのに!というお叱り、ごもっともである。
とにかくいろいろトラブりながら出発当日を迎えることになってしまった。

普段通りの格好ながらも、旅行用のリュックを背負い職場へ電車で向かう(普段は車通勤)。普段通り仕事をこなし、前もって伝えてあったとおり、定時で帰宅・・・と見せかけて、リュックに詰めてあった服と着替えて、そのまま成田空港へ。

そういえば、俺今まで成田いったことねーやwと気がついたのは、電車に乗った後だった。二時間あればつくだろう、と見積もっていたが、三時間近くかかった。職場~最寄駅にも時間がかかっており、成田につくと、時計はすでに八時を回っていた。

なお、飛行機の離陸予定時刻は九時四十分。国際線の場合は二時間前に空港に待機しておくべき、と言われてる以上、すでに遅刻である。

しかし、何も準備をしてこなかった初めて海外ジャポネーゼには、まだまだ解決すべきスタックがどっさりと積まれていた。

その一。

お金。

当然、日本円など使えるわけがないが、両替など済ませていない。というか、どこで両替できるのかも知らない。行きの電車で検索したところ、成田空港内にあるではないか!しかも、銀行っぽいくせに今でも営業している!偉すぎるぜーってなわけで、飛行機のチェックイン?と、荷物の預け入れ(といっても、リュックのみだが)を済ませ、両替屋さんへ(後ほど聞いたところによると、空港での両替は高いらしい)。一五万円ほどユーロへクラスチェンジ(なお、1320ユーロに替わったはず)させておく。

次に、すでにアムス入りを済ませているみやけんさんのツイッターから得た情報、「アムステルダムは寒い」、これを打破しなければいけない。なぜなら、現在所持している荷物は、猛暑の日本仕様、つまり上は全てTシャツだった。現在でも朝夜は十度程度というアムステルダムを乗り切るには心許ない。

というわけで、空港内をうろつく。ユニクロみっけ!と思ったのもつかの間。時はすでに八時を回り、閉店している。というか、周りの店もほとんど閉店していた。このスタックは、経由地であるパリに託すとしよう。ユーロに換金したことともかみ合うし。

ついでにスタックに積まれていた「昼飯以降食ってないから腹減った」も対象不適正のため立ち消えとなる。一応、空港内のねーちゃんんの話では離陸してから一時間くらいで食事、着陸一時間前くらいに食事らしいが、それまで空腹状態でいるのもきついので、唯一開いていた免税店で草加せんべい詰め合わせ(土産用。千円だった。たけえ)を購入し、いざ飛行機(パリ行)へ。

eチケットで予約した座席は窓際。実に十年近くぶりの飛行機であるため、わくわくしながら窓下をのぞき込んでいると、空席を挟んだ隣の女性にあれこれ話しかけられる。聞いてみると、彼女は十九歳の女子大生で、国際ボランティアを兼ねてのパリ旅行を行く途中だと行った。

十九歳!平成生まれ!まるで異星人のように感じてしまったが、話すと極めて普通のねーちゃんだった。のだめが好きで、その舞台のパリにどーたらこーたら、今乗ってる飛行機のメシがうまいとミクシィのコミュで見た、など、他愛もない話をだらだらとする。何しろ、成田~パリ・シャルルドゴール間は一四時間くらいある。機内ではタダでもらえるハイネケンを片手に、消灯時間まで適当にくだをまいていた。
そういえば、日本で心配事の一つに「職場~アムスまで一八時間くらいあるけど、飛行機でちゃんと睡眠をとれるだろうか」と思っていたが、半月くらい休みなしで働いたりして、とにかく疲れていたので爆睡。

何度かちょっと目が覚めたものの、起きたとき首が痛くなるくらい熟睡していた。
目が覚めると、すでに飛行機はヨーロッパ上空を飛んでいた。二時間もすれば、経由地のパリに到着するようだ。

朝飯を食いながら、飛行機のシートに取り付けられているモニターで「ゲーム」をやってみる。適当に「ケイブ・なんたら」というゲームを選ぶ。どうやら原始人を操作し、マップ上にちらばるアイテムを回収する。道にはマンモスなどの敵が動いており、それを避けながら行動しなければいけないが、「棍棒」のアイテムをとると一定時間無敵となり、敵モンスターを倒すことができる・・・。って、これまんまパックマンじゃねえか!

一面をクリアしてやめる。
そんなこんなで、花の都、パリに到着する。隣のねーちゃんに別れを告げ、預けた荷物を取りに行く…が、待てど暮らせど、コンベアをどんぶらこー、どんぶらこーと流れてくる荷物の中には、見知ったリュックが見当たらない。

マズイ!

脂汗が背中を伝う。貴重品及びデッキなどは身につけているポーチに入っているものの、着替えや、何より一応持ってきたトレード用カードはリュックの中に入っている。無くしてしまった、と笑って済ませられるものではない。
錆び付いたロボットのような動きでインフォメーションカウンターへ向かい、たどたどしく助けを求める。「あ、アーイムルッキンフォー、マイガービッジ」

口に出してからはっと気がつく。
そう、ガービッジは「ガラクタ」の意味だ、荷物はバゲージだろーーーーっ!ドラクエでドラゴンバゲージっていたじゃねーかっ!

幸いなことに「てめえのゴミのことなど知るか」などとは言われなかった。ってか、真意を読み解いたカウンターの事務員さんはかなりやりおると思う。

「なんちゃらかんちゃら、ユアパスポート?」

おずおずとパスポートを差し出すと、「オー」と一言。

「なんちゃらかんちゃら…アムステルダム」

要するに、「ここはただの中継地点だから、荷物は自動的にアムス行きの飛行機に移し替えられてるぜベイベー」てなことを言っているようだった。そんなシステムになっていたとは…。

本当に旅慣れていない感を全身から振りまきつつ、アムス行きの飛行機に搭乗すべく次のゲートへ向かう…と思いきや、実はパリ到着からパリ出発まで丸二時間もあるのだった。出発ゲートだけを確認し、スタックを解決せねば。そう、寒いと噂のアムスに着く前に、上着を買わないといけないのだった!




だが、パリは午前五時だった。
外はまだ暗く、当然店は全て閉まっており、買い物などできるわけもなく。

とにかく一服つけようか、と空港から外に出て、タバコに火をつける。


パリも、クソ寒かった。

続く?(疲れてきた)
エクテン環境…、とにかく、全てが妄想に過ぎない。

しかも、PTまで一ヶ月を切ったというのに、しているのはドラフトの練習のみ…。あまつさえ、「音速のシューマッハ」、「死神(ただし、連れて行くのは味方である!)」の名を返上することすらままならず、足をウシに踏まれた観光客のごとく、もがけども、もがけども足は抜けず。じっと手を見る…、知能線が枝分かれしている。
と、わけがわからないが、まあそんな日々を漫然と過ぎしている今日この頃だった。
収穫といえば、なんだかわからないでいる本人よりも、ずっと周囲の方が落ち着いており、キムタクのエクテン論について聞けたことや、もんじによる晴れる屋にエクテンプレイヤーが集っているということぐらいであろうか。

おかげさまで少しは平静さを取り戻し、エクテンのデッキを考える余裕もできてきた。
本日の妄想(やっぱ妄想なんじゃねーか!)は、以下

デッキ名「隠された誘惑」
// Lands
1 [APL] Island (3)
2 [M11] Sunpetal Grove
3 [ALA] Forest (1)
2 [TSP] Vesuva
2 [ST] Plains (3)
3 [SHM] Wooded Bastion
4 [LRW] Mosswort Bridge
4 [ZEN] Misty Rainforest
4 [LRW] Windbrisk Heights

// Creatures
2 [LRW] Cloudgoat Ranger
3 [ROE] Nest Invader
4 [M11] Primeval Titan
1 [ROE] Emrakul, the Aeons Torn
4 [CFX] Knight of the Reliquary
4 [ZEN] Lotus Cobra
4 [CFX] Noble Hierarch

// Spells
2 [CFX] Path to Exile
3 [SHM] Spectral Procession
4 [WWK] Amulet of Vigor
4 [ARB] Wargate


《ヴェズーヴァ/Vesuva》まで搭載した、魅惑の10秘匿デッキ。
秘匿から持ってくるのは、更なる秘匿または《戦争門/Wargate》、《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》で秘匿サーチし、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》でフィニッシュするクソデッキである。
《精力の護符/Amulet of Vigor》と《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》さえそろえば、秘匿アンタップイン+1マナ出るので、即起動という胡散臭い挙動が可能だ。
ただし《月の大魔術師/Magus of the Moon》はお疲れ!であるし、そもそも秘匿解除するために生物全般が貴重なリソースとしてカウントされているデッキであるため、現状ではただの汚物以外の何者でもない。
が、回ったときの動きはかなりチート臭い物があるので、なんとかならないものか。

お次は割とマジメ…というか、何も考えずに作った。

デッキ名「ただのゴブリン」

// Lands
14 [EVG] Mountain (2)
2 [FUT] Keldon Megaliths
4 [ZEN] Teetering Peaks
4 [WWK] Smoldering Spires

// Creatures
4 [ZEN] Goblin Bushwhacker
2 [ROE] Goblin Arsonist
4 [M11] Ember Hauler
2 [M11] Goblin Chieftain
4 [ZEN] Goblin Guide
4 [M10] Siege-Gang Commander
4 [TSP] Mogg War Marshal
4 [10E] Mogg Fanatic

// Spells
4 [ALA] Dragon Fodder
4 [MOR] Shared Animosity

1t→1マナゴブリン
2t→2マナ2体ゴブリン
3t→1マナゴブリン+奇襲隊キッカーで10点!

というデッキ。残ったライフは《分かち合う憎しみ/Shared Animosity》でズドン!である。

あまりにも直線的過ぎるのが難点。
前回、エクテン新デッキを考えてみたところ、なんだかぐっちゃぐちゃになってしまった。
とりあえず考えて見たところは自分で評価し、とりあえず日記に書いてみたところ
キムタクから
「ジョイタイムの面影が殆ど残ってないんですけどw

サーチできるからって何でもかんでも1枚積みにするものではありませんよ。」

とお叱りがきた。

本当にすいませんでした…。

とにかく、現状ほとんど誰も足を踏み入れていない世界、それが現在のエクテンである。

一体どんなデッキが正解なのか、そんなことを知るものは誰もいない。しかし、調整しないわけにもいかず、闇雲にクソデッキを回す日々が今日も始まる…。

そんな中、みつひでがDNにあげた一本の日記、「だるさんのためのエクテン教室」。

これをざっと眺めていると、あることに気がつく。

「このレシピのカードたち…、全体的に見たことがるデッキばっかりやないか!(遅い)」

そう、らせん~ゼンディカーという今までと比べて格段にせまくなったカードプールでは、比較的シナジーを形成しやすい同エキスパンションのカードを使用したデッキ…、つまり旧スタンダ-ドのデッキが現状ではメタの最前線に陣取っている。それが現在のエクテンの姿なのである。
しかし惜しいかな、それは4年位前、我々が通ってきた道だっ!!

それならば、今までのスタンダードを振り返りつつ、新たなコンボ・シナジーを搭載するデッキを作り上げる。これこそがPT制覇への道となる(ドラフトのことを最近忘れつつあります)。

そこで、このデッキだ!

デッキ名「もんじちゃんむじもんじ」

// Lands
1 [WWK] Sejiri Steppe
1 [WWK] Celestial Colonnade
1 [M10] Terramorphic Expanse
4 [ZEN] Misty Rainforest
4 [ZEN] Forest (2a)
2 [ZEN] Island (2a)
2 [ZEN] Plains (4a)
4 [10E] Treetop Village
1 [SHM] Wooded Bastion
1 [LRW] Mosswort Bridge
3 [EVE] Flooded Grove
2 [SHM] Mystic Gate

// Creatures
4 [CFX] Knight of the Reliquary
4 [ARB] Sovereigns of Lost Alara
4 [ZEN] Lotus Cobra
4 [CFX] Noble Hierarch
4 [FUT] Tarmogoyf
2 [MOR] Vendilion Clique

// Spells
3 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
2 [ROE] Eldrazi Conscription
3 [ZEN] Summoning Trap
3 [M11] Mana Leak
1 [LRW] Cryptic Command
1 [ALA] Bant Charm

キムラーバントである。

お前の脳にはそれしかねーのかっ!と自分でも思ってしまうが、割とマジメだ。特に、フェアリーが多いなら《召喚の罠/Summoning Trap》は最強のカードまである。
しかし、みつひでをしてトップメタの一角と言わしめる赤単への耐性という点においては、この形では心もとない。
少なくとも《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》はメインに4枚はほしい。また、やはりメタ上に多数存在する《罰する火/Punishing Fire》コンボに対抗できるのが《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》2枚というのも不安を掻き立てる。
どうしたもんかねえ

とりあえず、思いついたシナジー?

その①プロジェクトY
《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》と太陽のタイタン+サクリファイスエンジンで無限サクリファイス!そうじゃなくてもタイタンで死なない子になる!

その②戦争門
X=0、計3マナで《睡蓮の花/Lotus Bloom》!次のターンに土地置けば7マナ出る!

その③相手だけ
《朝の歌のマラレン/Maralen of the Mornsong》+《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》で、相手だけ微妙なサーチしかできない!

その④8アクザン
《悪斬の天使/Baneslayer Angel》が死んでも、俺にもは《石塚の放浪者/Cairn Wanderer》がいるっ!

その⑤かめころ
これはよく訓練された《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》!

その⑥さっさと死ね
消失カウンターがなくなったらいいこと起きるシリーズ+《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》。特に《迷えるオーラ術師/Lost Auramancers》!

その⑦ドッペルさん
《背教のドッペルゲンガー/Renegade Doppelganger》+想起生物

その⑧変形ロボ
《肉捻り/Fleshwrither》が変形すれば8《吸血鬼の夜侯/Vampire Nocturnus》!

その⑨ヤヤバラ
《特務魔道士ヤヤ・バラード/Jaya Ballard, Task Mage》はジェイス+新ジェイスですら1マナ+1ディスカードで殺してくる!

その⑩騎士
《キンズベイルの騎兵/Kinsbaile Cavalier》とか、いたなあ、こんなの。《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》ダブルストライクで人が死ぬ!

その⑩壮大
壮大持ちレジェンドと獣相のシャーマンは相性がいい!

その⑪鏡
《鏡の大魔術師/Magus of the Mirror》+《むかつき/Ad Nauseam》!アップキープ生け贄スタック《むかつき/Ad Nauseam》でライフを削って《稲妻/Lightning Bolt》!重くて調整できずに自分が死にそう!

その⑫ずっと徴兵へーい
《霧覆いの平地/Mistveil Plains》で使い終わった《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》もライブラリーに戻っていく!フェッチでも持ってこれる!

その⑬ドランド
《つぶやき林/Murmuring Bosk》は緑絡みフェッチで持ってこれる!うめえ!

あと、0回戦はなんとかなるもよう
先週、運良くPTQを通過したことで、知人の多くは暖かいエールを送ってくれた。
中には、MTGをとうの昔に引退しているにも関わらず、どこからか情報を聞きつけて祝福してくれる友人もいた。
みんなありがとう、俺がんばるよ!とか言いたいところだが。

俺は重大な見落としをしていた。

それは フ ォ ー マ ッ ト について何も知らなかったのである。

何の疑いもなく、予選がスタン=本戦もスタンと思っていた俺に、スカイプで話していたみつひでがいった。
みつひで:でも、ダルさんエクテンどうすんの?
俺:は?
みつひで:本戦ってエクテンでしょ?
俺:本戦はスタンでしょ、エクテンとか何も知らないし…(公式を確認中)、ほんまやーーーーーーーーーーーーーーー

ってなわけで、浮かれていたところに、急に冷水をぶっかけられた気分であった。
ともかく、PTQ抜けるなんてのは一生に一度かもしれない幸運である。
ここは本気になってエクテン取り込もう、と思ったものの、ご存知のとおりエクテンフォーマットは7月1日から大幅改定を済ましていたのである。
俺「つーか新エクテンかよ、 最初で最後の」
みつひで「誰得フォーマットで楽しいだろ」
この男、完全に他人事である。

ともあれ、エクテンは7/1より10th、2010、2011、時のらせん、ローウィン+シャドウムーア、アラーラ、ゼンディカー。

誰も体験していないフォーマットで、最強デッキを探求する旅が、今始まった。

みつひで: 誰もが最初に思いつくデッキ、フェアリーと赤単だよ

だそうである。しかし、誰もが思いつくデッキでプロとプレイングスキルで勝負したとしても、結果は火を見るより明らかである。

だるびっしゅ: あれ
だるびっしゅ: ジョイタイムにシャーマンつっこむと強そうじゃね
みつひで: 全部持ってこれる!
だるびっしゅ: しかも捨てられる
だるびっしゅ: 自分もヒバリで帰ってこれる
みつひで: それは覚えておくと得するレベルだ・・・
だるびっしゅ: これはエクテン始まったかもわからんね

そう、エクテンのソリューション、それはジョイタイムだったのである!

だるびっしゅ: ガルガドン君主キムタクスペシャルデッキの出番だな!

そのガルガドン君主キムタクデッキがこちらである。

// Lands
4 [ZEN] Misty Rainforest
1 [WWK] Sejiri Steppe
2 [ZEN] Arid Mesa
4 [ALA] Forest (1)
1 [EVG] Mountain (2)
1 [ST] Plains (3)
1 [APL] Island (3)
4 [LRW] Vivid Grove
3 [SHM] Reflecting Pool
2 [FUT] Grove of the Burnwillows
1 [LRW] Vivid Creek
1 [LRW] Vivid Meadow

// Creatures
1 [LRW] Sower of Temptation
3 [ZEN] Lotus Cobra
2 [MOR] Reveillark
1 [ARB] Sovereigns of Lost Alara
4 [CFX] Noble Hierarch
4 [CFX] Knight of the Reliquary
1 [TSP] Greater Gargadon
3 [M11] Fauna Shaman
1 [WWK] Cunning Sparkmage
1 [DD2] Mulldrifter
1 [PLC] Body Double
1 [ARB] Qasali Pridemage
1 [LRW] Flamekin Harbinger
1 [SHM] Kitchen Finks
1 [LRW] Cloudthresher
1 [ALA] Ranger of Eos
1 [M11] Viscera Seer

// Spells
1 [ROE] Eldrazi Conscription
2 [ZEN] Summoning Trap
3 [ZEN] Punishing Fire
1 [FUT] Pact of Negation

すごく…汚いです…。

ちなみに、LCに見せたら「すごく弱そう」って言われました☆

強そうなデッキ募集中
PTQ&DNはじめて物語
プロツアー。
マジックプレイヤーならば誰しもあこがれる、世界最高峰の舞台として数えられている。
プレミアイベントの中でも参加条件の厳しさは屈指。昨年度世界選手権上位50位だのプロプレイヤーレベル3以上だのといった参加資格はあるものの、一般人であれば、参加のチャンスは事前に行われるプロツアー予選大会(PTQ)で優勝する以外にない、といっていい。
かくいう俺も、最高峰の舞台をめざし、これまで何度もPTQに挑んだことがある。参加費2500円(構築の話である。PTQの参加費は高いのだ)を支払って。
…と思ってPlay Historyを確認したら、実は二回しか挑戦したことなかった。しかも、二回ともリミテッド。

いずれにせよ、なんだか非常に高い壁なんだと思っていただきたい。
雲の上に位置する、戦いの場。それがプロツアー。いいじゃないか、それで。

6月に行われたGP仙台では幸運にも34位入賞し、初のマネーフィニッシュを果たした。
そして、続けて行われた日本選手権にも、なんだかよくわからんが予選を二位で通過したので挑戦。
本戦は3-6ドロップというふがいない結果に終わったが、いつもは居場所をサイドイベントのドラフトにおいている自分にとって、なにか憑いているんではないか、と疑わんばかりの好成績が続いている。

日本選手権を終えると日本のマジック界は、年末に行われるfinals/limitsに向けて静けさを取り戻すのだった。
めでたし、めでたし。



とはいかないのがマジックジャンキーたちの悲しいサガである。

たとえプレミアイベントがなくとも、プレイヤーは自らの戦場を求めて、今日は板橋、明日は横浜、来週は千葉、と関東中の草の根トーナメントを練り歩く。
日本選手権の余韻を残す中発売された「Magic2011」という新しい相棒を携え、7/16という三連休の初日に挑んだのは関東最大級規模を誇る草の根大会、PWCだった。

使用したデッキは以下のとおり。

デッキ名「もんじちゃんまじもんじ」

生物-17
《貴族の教主/Noble Hierarch》4
《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》4
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》4
《悪斬の天使/Baneslayer Angel》1
《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》4

スペル-18
《流刑への道/Path to Exile》2
《マナ漏出/Mana Leak》4
《否認/Negate》3
《バントの魔除け/Bant Charm》1
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》3
《召喚の罠/Summoning Trap》3
《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》2

土地-25
《森/Forest》5
《平地/Plains》2
《島/Island》2
《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》2
《霧深い雨林/Misty Rainforest》4
《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》4
《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》1
《進化する未開地/Evolving Wilds》1
《天界の列柱/Celestial Colonnade》4

サイドボード
強情なベイロス3
《天界の粛清/Celestial Purge》3
《流刑への道/Path to Exile》2
《呪文貫き/Spell Pierce》2
《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》1
《不屈の随員/Dauntless Escort》1
《バントの魔除け/Bant Charm》1
《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》2

デッキコンセプトは「丸い構成」。
新エキスパンション発売直後に目立つ、ファンタジスタ(電波系)なデッキをカウンターでいなして、現スタン環境最強のカードパワー(と信じている)アラーラシステムで殴り勝つ。要は普通の徴兵バントである。
M11発売前から搭載されている《召喚の罠/Summoning Trap》は、《マナ漏出/Mana Leak》採録が追い風となり、今まで以上に凶悪になっており、所謂わからん殺しが成立することも少なくないだろう、という読みである。
ってなわけでPWCに挑んでみた↓

青緑ターボランド(AKKA) 勝ち
蔦バント(シミチンバント的な)負け
赤緑ビッグマナ(マンダム)負け

と、結果は1-2ドロップorz

とにかくプレイングミス(二戦目)、サイドミス(三戦目)とミスが目立ち、負けて当然な内容であった。

また、一時ははずしていた《流刑への道/Path to Exile》の採用もミスであった。
大事なブン回り要員である《極楽鳥/Birds of Paradise》を解雇して流刑は、正直ありえなかったと思える。
惨憺たる成績を引きずってプレリリースパーティに挑戦するも、2-1でドロップ(フィニッシャーレスパックだった)。

トーナメントで負けたとき、いつも浮かぶのは「貴重な休日が…」というネガティブな思考。
しかし、今週も日曜こそは休日出勤せざるを得なかったものの、世間様は三連休。土曜がだめでも月曜がある!

ということで、日曜の仕事を終わらせて、さらにデッキを練り込む。

デッキ名「もんじちゃんまじもんじ」      (後期型)

生物-19
《貴族の教主/Noble Hierarch》4
《極楽鳥/Birds of Paradise》2
《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》4
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》4
《悪斬の天使/Baneslayer Angel》1
《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》4

スペル-16
《マナ漏出/Mana Leak》4
《否認/Negate》3
《バントの魔除け/Bant Charm》1
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》3
《召喚の罠/Summoning Trap》3
《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》2

土地-25
《森/Forest》5
《平地/Plains》2
《島/Island》2
《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》2
《霧深い雨林/Misty Rainforest》4
《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》4
《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》1
《進化する未開地/Evolving Wilds》1
《天界の列柱/Celestial Colonnade》3
《氷河の城砦/Glacial Fortress》1

サイドボード
強情なベイロス3
《天界の粛清/Celestial Purge》3
《流刑への道/Path to Exile》3
《呪文貫き/Spell Pierce》2
《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》1
《バントの魔除け/Bant Charm》1
《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》2

デッキの基本理念はおそらく間違っていないはず、ということでマイナーチェンジ。
ちなみに、脳内レシピは保管されていたものの、仕事で疲れていたので月曜の朝に30分ほどカードを探しただけで、会場に到着してから入れ替えました。

というわけで、PTQアムステルダム千葉二次。
ちなみに、先日のPWCではHanoiがいくよーってなことを言っていたが、会場にいた数少ない知り合いのもっちーによると、今日は服を買いに行くので来ないっとのこと。なん・・・だと・・・?
PTQだろうがGPTだろうが草の根だろうが関係ない。することはただ勝つのみ!

一戦目ジャンド(とみいくん)○○
二戦目青緑変身(外人さん)○○ 3T《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を《マナ漏出/Mana Leak》されたので《召喚の罠/Summoning Trap》。アックザーン徴兵して気持ちよくなれました。
三戦目徴兵バント同系(もりしょー)○×○
四戦目青白コン(JBさん)×× 1本目2T《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を《マナ漏出/Mana Leak》されて、《召喚の罠/Summoning Trap》!で相当テンション上がった。めくれたのが《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》でも。上がりすぎて土地置くの忘れるという、初心者でもしないミスで負けorz ※画像1
五戦目ジャンド(カンノくん)○○
六戦目ジャンド(ハギワラさん)ID


でベスト8シングルエリミへ。
一戦目 青白t赤super friends(アキヤマさん) ○○
二戦目 赤緑ワイルドファイア(せるぷーさん) ×○○ サイドからのスーパーカウンターモードで《探検/Explore》すら打ち消しまくって勝ち

一、二回戦とも、かなり早めに試合が終わるも、トーナメントの逆側は全然進んでいないようなのでHanoiの恋バナ(笑)などを聞きながら待つ。
トナメの逆はJBさんともっちーだった。
しかし終わらない。
終わらない。
まだ終わらない。
みやけんさんとちょろっと話をしたり、タバコ吸ったりして、二回戦終わってから一時間半後にようやく決勝開始。

三戦目 青白コン(JBさん)○○ 一本目はブン回ってとって、二本目は全てさばかれて、盤面が《極楽鳥/Birds of Paradise》のみになって手札はゼロ。あとは《天界の列柱/Celestial Colonnade》2枚を相手の《天界の列柱/Celestial Colonnade》と《地盤の際/Tectonic Edge》で消滅させてからのトップ勝負だなー、などと考えていたら
こっちドロー《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》。《極楽鳥/Birds of Paradise》アタック→《糾弾/Condemn》
相手メイン 君主に《忘却の輪/Oblivion Ring》。
こっちドロー《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》。
相手メイン《悪斬の天使/Baneslayer Angel》出してエンド
こっちドロー 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》。

という超人的な引きで勝利。決勝はたくさん人が集まってきていて、みたむらさん・ありたさん(スタッフ)、たるさんなどのそうそうたる面々が見ていたのだが、ハンド0からの《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》でありたさんが「PT抜けるときの引きってのはこんなもんやー」と言っていたのが妙に印象的だった。

こうして僕の構築PTQ初体験は終わった。

あとはアムステルダムに向けてみやけんさんが言うように、最強の敵「0回戦」を勝利できるように奮闘を誓いまして、DNの初日記とさせていt抱きます。

次回、「○○の都(知らない)、アムステルダム」でダルビッシュの身に数々の不幸が降りかかる。絶望の果てに、彼の目が捕らえた光とは。
続くかもしれない。

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